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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2003年06月のニュース一覧
▼[2003.06.29]パンサーの爪痕
▼[2003.06.27]清廉,高貴,堅牢,鉄槌,畏敬
▼[2003.06.25]はじまる,あした。
▼[2003.06.23]動画過疎地の現状
▼[2003.06.22]確定的噂列
▼[2003.06.21]過去と将来
▼[2003.06.20]MTV FX記
▼[2003.06.19]鳥の翼
▼[2003.06.17]On flying toaster wings!
▼[2003.06.15]鏡の中のアリス
▼[2003.06.13]IP blast!
▼[2003.06.11]プラネットB・ストリーム
▼[2003.06.09]超新星を見上ぐ
▼[2003.06.07]死の時
▼[2003.06.05]ポータルツレヅレ
▼[2003.06.03]濁々と鋭き牙持ち
▼[2003.06.01]銃より不安

■2003年07月のニュース一覧
■2003年05月のニュース一覧


 
[2003.06.29]
  パンサーの爪痕


 ▼次期Mac OS X“Panther”は129ドルで年内出荷を予定(Impress PC Watch)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0624/wwdc03.htm


 その爪痕は,なかなか消えないほど深く鋭い。

quote:アップル社の世界開発者会議では,次期マックOS X 10.3のパンサーが紹介された。ファインダーの刷新,ラベル機能のサポート,見ごたえのあるユーザー・スイッチングなど,100を超える新機能を備える。129ドルで2003年中のリリースが予定されている。

 事前にプレビュー版の画像が流れていたのでそれをほぼ確認するような感じになったが,画像だけではわからない動き,にかなり歓声があがっていた。ぐるっと画面が回転してユーザーを切り替えるユーザー・スイッチング(GIFアニメ),たくさんの重なっているウインドウを縮小して並べ,自分の求めるウインドウをすぐに探せるエクスポゼの動き。ドックの拡大機能などで自然と使っているクォーツ・エクストリームの力をこれでもかとみせつけるそれらの機能は,実用性とともに楽しさを生む。

 そしてiDiskのローカルフォルダとのバックグラウンドでの同期機能。10.2ではiDiskをマウントさせて,実際にファイルをコピーして,とやっているけどやはりそれなりに時間がかかって快適ではない。将来的にハードディスクがネットワーク上にすべてある状態へつなげるためには,常にローカルのフォルダと同期するというのが楽な方法だ。それによってファイルコピーにも時間がかからず,iDisk上のファイルの編集や再生も快適に行える。それもまた,パンサーの大事な一歩と感じる。




 
[2003.06.27]
  清廉,高貴,堅牢,鉄槌,畏敬


 ▼アップル社トップデザイナーに聞く『パワーマックG5』の秘密(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030626302.html


 清律,高貴,堅牢,鉄槌,畏敬。

quote:新しいパワーマックG5の厳粛さをただよわせた簡素なデザインに遭遇したユーザーは,神秘的で力に満ちた存在を前にしているかのように静まり返った。この外観を生み出した中心人物のジョナサン・アイブ氏は,シンプルに保つことがG5の全体的なデザインの哲学だと話す。「本当に強力な道具に,安っぽい見せかけを付け加えたりはしない。真にミニマルな方法で素材を使った」。

 パワーマックG5は実物をみたいと思わせる。写真をみた感じ(WIRED NEWSの記事),本当に1枚のアルミに思える。マックOSのサファリやiTunesなどでみられるメタルインターフェイスで,そのままハードウェアを作ったような。前面・背面の金網(WIRED NEWSの記事)は実物をみたらどう感じるのだろう。通風のためではあるが,どこか律とした印象も生んでいる。

 基調講演では,本当にG5のお披露目の際に静まり返ったのが印象的だった。大きな歓声があがってもよさそうな場面なのに,みんながその存在感に打ちのめされていたような感じだった。ジョナサン・アイブがいるから,アップルの製品はアップルの製品でいられる,とも云われる。ともかく,パワーマックG5を,みたい。




 
[2003.06.25]
  はじまる,あした。


 ▼会場で展示されたPowerMac G5を速報(Impress PC Watch)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0624/wwdc02.htm


 あしたが来るかどうかは,自分がきょう,なにかをしたかによって変わる。なにもしなければあしたは来ない。すべきことをすれば,あしたは来る。

quote:アップル社のスティーブ・ジョブズCEOは世界開発者会議(WWDC)の基調講演で,IBM社が製造するパワーPC G5を搭載するデスクトップ機,パワーマックG5を8月から出荷するとアナウンスした。

 講演の模様をアップルのページからみたが,なにやらジョブズ氏がエラク機嫌がよさそうだったのが目に止まった。パンサーでもいろいろと面白いものはあったけど,やはりメインはパワーマックG5か。「世界最速のパーソナルコンピュータ」という看板は伊達ではなく,32ビット互換部分で動かしているフォトショップなどのスペックであることも加味しておいた方がよいだろう。

 先日あったアップルの株主総会でもその話が出ていたようだが,パワーマックの売り上げの落ち込みの激しさは,やはり誰もが不安に感じる事態だった。騒音,発熱,速度向上の遅延など,さまざまな問題が積み重なったパワーPC G4が,その最大の原因,というのは明らかな事実だ。だから,パワーPC G5と名付けられたパワーPC970しか考えられない。来年の夏までには3GHzにというのもG5ならば可能だ。ノートの変わらぬ好調さに,G5が加わって,やっとすべての商品に存在感が出てきた。そしてG5は今年中にもすべての製品(iBook,eMacにまで)に積まれるだろう。これしかない,ここからはじまる,あした。(久し振りのあぷるエセ広告




 
[2003.06.23]
  動画過疎地の現状


 ▼DivX 5.0.6 fixes outstanding bugs in codec(MacNN)【英語】
  http://www.macnn.com/news/19725


 もう何年DivXに苦しめられてきたかと思うけど,ここ数ヶ月のDivX ネットワークスの本気具合を考えたら,そんなこと忘れてしまいそうだ。

quote:DivXネットワークス社は,マック版のDIvX for mac 5.0.6をリリースした。このバージョンはVCLプレイヤーの再生を妨げるバグを直すとともに,MP3オーディオを含んだAVI動画がクィックタイム・プレイヤーできちんと再生できない長年の問題を解決している。

 旧聞記事すまそ。5.0.6の最大のアップデートは,やはりMP3オーディオ+DivXビデオなどのAVI動画をなんの問題もなく再生できるようになったこと。DivX 3.11αの時代からずっと,マックのクィックタイム・プレイヤーでAVI動画を再生させると,音がブチブチと途切れてしまうのがずっと問題だった。クィックタイム・プレイヤー側のバグなんだけど,DivX DoctorやDivX for mac付属のDivX ValidatorなどでAVIファイルを修復しなければまともに再生できなかった。だが,5.0.6をインストールすればなんの問題もなく再生できる。これによって,PCでやりとりされているDivXやXvidのAVI動画をそのままマックで,すぐに再生できる。AviUtlなどフィルタをかけられるPCでDivXエンコしたり,または(PCユーザーからは煙たがれているけど)2getを使って子鯖で交換した動画もすぐに再生できる。もちろんマック側でDivXエンコしたファイルもPCで完璧に再生できる。完全互換の状態が整ったわけで,非常にありがたい。

 マックという動画過疎地帯が,DivXが本気になってマック版を作り出したことで大幅に改善されてきている。DivXの本気具合は5.0.6の出来ですぐにわかる。画質が一向に向上しないISO MPEG-4に見切りをつけても大丈夫になってきた。また,もうひとつ,動画プレイヤーのMPlayer OS Xの次のバージョンでは,驚くほど開発が進むマトリョーシカ動画(MKV動画)のサポートが予定されている。AVI動画に取って変わるだろうMKV動画はクィックタイム・プレイヤーでの再生にはちょっと時間がかかりそうだが,とりあえずMPlayerで再生可能になるのなら取り残されずにすむだろう。それにつれてMEncoderでのMKV動画作成も可能になってくれるのを願いたいものだ。…現状マックのクイックタイム・プレイヤーでAVI動画を再生する処方箋をまとめておく。DIvXビデオのAVI動画→DivX for Macで問題なし。XvidビデオのAVI動画→DivX for Mac(MP3オーディオ再生に必要)と3ivxコーデックのインストールでOK。ただし3ivxコーデックはDIvXの再生もやってしまう。G3機など低スペックのマシンではその方が再生がスムーズだが,G4の高スペックならDivXの再生はオフィシャルのDivX for Macの方がよいだろう。




 
[2003.06.22]
  確定的噂列


 ▼Panther Screenshots (for real)(Mac Rumors.com)【英語】
  http://www.macrumors.com/pages/2003/06/20030621013140.shtml


 みえてきた基調講演の内容。今年は開発者だけでなく,すべてのユーザーにとって大事な講演になりそうだ。

quote:4OSX.comがパンサー(マックOS X 10.3)のスクリーンショットを掲載した(ミラーページ)。サファリのバージョン1.0,X11なども含まれている。

 パンサーの大幅な改良点の提示,パワーPC 970(PPC970)を積んだパワーマックG5の発表,このふたつがほぼ確定となってきた。G5についてはアップルがウェブで情報を漏らしたとの話(CNET Japanの記事)。アップルらしくないミスだが,その後スクリーンショットを掲載したサイトに次々警告を送って画像を削除させていることで,ほぼ本当であることが決定(スクリーンショットのミラー)。そしてパンサーのプレリリースの流出画像からはいろいろなことがうかがえる。

 iChatには噂通りビデオチャットの機能は標準搭載となる(pic)。これに合わせてアップルがビデオチャット用のカメラをリリースすると云われているがそれは不明。だが現状,市場にはマック用のチャットカメラはほとんどないので十分にありえる。ラベル機能が復活する(pic)。[control]+クリックで表示されるメニューにもある(pic)。以前から新しいファイルシステムを採用するという話もあったので(過去記事),それに付随したものかもしれないが詳細はやはりわからない。システム環境設定の画面(pic)は整理統合されている印象が強いが,いままでなかったエクスポゼ(Expose)とセキュリティ(Security)が気になるところ。エクスポゼとはキーを押したり,マウスを画面の四隅に動かすことで,簡単に特定のウインドウを表示したり消したりする機能のようだ(pic)。その他,iTunes同様,平べったいメタルインターフェイスになったDVDプレイヤー(pic)。現在あるプロセスビューアとCPUモニタ,さらに強制終了の画面を合わせたアクティブモニタ(pic),フォルダになんらかの操作を割り当てられる(?)フォルダアクション(pic)の画像も。(追記:パワーマック G5,pic1?pic2?




 
[2003.06.21]
  過去と将来


 ▼海賊PCを攻撃せよ−−米上院議員が「最も過激な」提案(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0306/19/ne00_senatezap.html


 過去を優先するのか,将来を優先するのか。私たちにとって,大切なのは,どちらか。

quote:米国上院議員のオリン・ハッチ氏が公聴会で,著作権の所有者が著作権侵害者のパソコンを遠隔操作で破壊することを支持すると発言した。著作権侵害を阻止するにはそれが究極の方法と述べている。のちに若干トーンを落とす方向で修正を加えたが,同氏のウェブサイトでもスクリプトコードの著作権を侵害しているのでは,と糾弾する声もあがっている。

 過去,そして現状を維持するには,ネットワークを一掃すればよい。ウェブページやメールはいいけど,ファイル共有は許せない,というのはナンセンスだ。ファイル共有を否定するのであれば,きょういますぐに自分のパソコンのネットワークの線を引き抜き,公式サイトを閉鎖し,すべてのアクセスを止めよ。ウェブページには違法の情報はどこにでもあるし,違法な情報をやりとりするのにメールは便利だ。健全なウェブやメールと不健全なウェブやメールを区別し,不健全なものだけを排除することなどできない。できるなら,もう誰かがとっくの昔にしている。

 過去,そして現状を維持したいのなら,ネットワーク全体を攻撃し,破壊すればよい。それしか維持する方法はない。だが,将来を優先するべきなら,現行の著作権制度,そしてその上であぐらをかくことしか知らないバカを殴り殺すべきだ。それしか将来を大切にする方法はない。すべての情報は共有される。それは,音楽も動画もいかなるテキストも変わらない。そのような将来しか,私たちには待っていない。いま,私たちがすべきことがなにか,きちんと考えておこう。




 
[2003.06.20]
  MTV FX記


 ▼MTVシリーズがMPEG-2とMPEG-4の同時保存に対応(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0306/18/nj00_mtvfx.html


 二度続けて,なんか違う,という製品を出されると,ちょっとね。

quote:カノープス社は,ビデオキャプチャカード,MTVシリーズの新製品を発表した。仕様は従来のままで,ハードウェアによるMPEG2エンコードと並行して,DivXエンコードを行えるようになった。従来製品でもアップグレードキットを購入すればDivXへの追っかけ変換ができるようになる。

 それはMPEG4ぢゃなくてDivXでしょ,と10人中9人のマックユーザーが云っていると思うんだけどそんなことはどぉでもいい。真面目に,このDivXへの追っかけ変換なるものを使うかどうか考えてみた。で,使い道としてはただひとつ,ほぼリアルタイムでできたDivXのキャプチャファイルをファイル共有に流すぐらいだ。まぁそれはそれでありがたいという人もいるかもしれないけど,そんなに必要度は高くない。つまるところ,使い道がえらく少ない。

 通常,MEPG2からDivX形式に変換する場合は,AviUtlなどで24fps化または120fps化と,クロップ,YC拡張,ノイズ除去,アンシャープマスク,色調補正などのフィルタ処理を行うと思うので,キャプチャカードで直接DivX保存されてもなんの得もない。多少ファイルサイズがでかくても,最良の状態で保存して,あとから処理した方がいいに決まってる。追っかけ変換でフィルタ処理も同時にやってくれるんなら,あとはCMカットするだけですむからいいんだけど,現状ではほんとにただ放送と同時にファイルができあがるだけだし。MTV3000Wのときに実際に試す機会があって凹んだけど,うちのようなケーブルテレビのユーザーはMTV2000→3000Wのバージョンアップでケーブルテレビのチャンネル数が減ってキャプチャできないチャンネルが増えた(うちだとUHF系とBSデジタル系が全滅になる)。それは今回の製品も同じ。ユーザーの声に応えてこの製品のリリースになったと云ってるけど,なんか違うような気がするんだよなぁ。基本性能はいいのに,この謎なアップデートは,ちょっと。




 
[2003.06.19]
  鳥の翼


 ▼WWDC 2003 Rumor Roundup(MacRumors.com)【英語】
  http://www.macrumors.com/pages/2003/06/20030615172214.shtml


 必然のWWDCがはじまる。翼,陽に照る。

quote:23日に始まる世界開発者会議(WWDC)の噂をまとめる。IBMの64ビット CPU,パワーPC970(PPC970)の採用を発表し,新しいパワーマックが出荷されるという噂。またハイパートランスポート,DDR400,USB 2.0,AGP 8xを採用した新しいマザーボードについても言及されるかもしれない。15インチパワーブックについても噂があるが,PPC970を積んで2004年が目標となっているという話もある。次期OS,パンサー公開のためにWWDCは延期されてきたが,パンサーで新しいファイルシステムを採用するという噂も。他には,新しいiChatとともにアップルのビデオカメラがリリースされるという話もある。

 どちらかというといつも通り開発者向けの発表にとどまるという向きもあったWWDCのジョブズ氏の講演なのだが,米国の直営店ではライブでストリーミング放送されるという噂も伝わってきて風雲急を告げてきた感じ。開発者向けにとどまらない発表があるような雰囲気がただよってきている。となれば当然,新機種への期待ばかりが高まる。公式なアップルからの発言がひとつもないなかで,CNETの記事でもかなり深いところまで踏み込んできている。また,先週,一部のマック系噂サイトにアップルからPPC970採用に関する記事の削除要求が来ていたこともあり,もう引き返せないところまで噂は先走っているようだ。

 噂の半分ほどでも現実になるとしたら,アップルとっては大きな翼を得ることになる。もちろん,人は足があるから歩くのでもなく,歩くために足があるわけでもない。それは偶然と必然のロンドでしかないように,翼を得ることも,ただ,ときが来ただけに過ぎない。だが,飛べない鳥は死ぬしかない,と私たちは考えてしまう。WWDCについても受け手としては,必然のときが来るのを感じる。




 
[2003.06.17]
  On flying toaster wings!


 ▼After Dark が Mac OS X 用に再来(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-683.html#lnk1


 あれからもう12年も経った。幸せも不幸せもいっぱいあった。もう女の子なんて呼べない年齢になって,小さなデザイン事務所で働き出した彼女は,仕事場のパソコンのなかで派手に飛び回る,あの夜のトースターをみつけた。

quote:Tonyaは今でもフライング・トースターのウェットシャツを着る。これはバークレイ・システムズ社のスクリーンセーバー,アフター・ダークが世界中で人気を博していた時代のもの。アフター・ダークは1989年にデビューして人気となったがマックOS 9と互換が取れず,消えてしまった。が,日本語版を発売していたインフィニシス社がOS X版の新製品をリリースした。

 雪が降っていた。クリスマスのためにちょっとだけ飾りがついて華やかさを増している小さなアベニューも,夜が更けて(といってもまだ20時過ぎだが)しんと静まり返っていた。 女の子は,ショーウインドウのなかにある,女の子の家で飼っているクシュという名のネコと同じくらいの大きさのパソコンに映る画面を見入っていた。ちょっと寒くて手袋のない手に,はぁーっと白い息をはきかけながら,母親を待っていた。静かな夜,積もる雪。沈んでいた女の子の気持ちに,そのパソコンの画面はコミカルに動き回り,そして思わず笑顔にさせた。画面の中では,家にあるのとそっくりなトースターが羽根を羽ばたかせて次々と空を飛んでいた。

 父親がいなくなっていたのが,その日の朝だったことを女の子はいまでもおぼえている。前の晩,なにやら言い争う声をベッドの中で聞いていて,起きて様子をみに行きたくても,みてはいけないような雰囲気を感じていた。夕方から母親は辛そうな顔をして女の子の手を引いて,仕事を探しに来たのだ。ちょっと待っていてと云われて,母親は高い扉の建物に入っていった。そして,雪が降り出した。トースターはいつまでも飛び続け,ときたま焼き上がったトーストが飛び出した。母親は,あまり明るくない顔で扉から出てきて,また女の子の手を取って歩き出した。女の子はちょっと振り返って飛び続けるトースターを見送り,きょうの夜の夢のなかで,自分もトースターと一緒に空を飛ぶ夢がみられることを,願っていた。(おまけ,フライング・トースターの歌の歌詞




 
[2003.06.15]
  鏡の中のアリス


 ▼リクエストに応えました! 鏡の中からテレビが観られる「Mirror TV」発表(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/12/14.html


 アリスは夢で,鏡の国に迷い込んでしまったように思われがちですが,本当は鏡の中に囚われたのに気付かなかっただけ,だったのです。その鏡の国がどこだったのかは,キャロルにもまだわかりませんでした。

quote:ロイヤル・フィリップス・エレクトロニクス社は,鏡のガラス面にテレビ放送を映し出す,ミラーTVを発表した。2005年には家電製品として販売する。洗面所でテレビを観られるようにしたり,パソコンを接続してインターネットやメールも楽しめるようになる。

 アリスはチェスの盤面でステップを踏みながら,ふと立ち止まり,妙なことに気付きました。チェスの盤面は8×8しかないはずなのに,アリスの目線の先には,遥か彼方まで格子模様が続いています。まぁ,果物がなってから花が咲くような世界だもの,世界の広さがわたしの想いと同じなわけはないと,アリスは天上を転がっていく麦藁帽子を見上げて思っていました。次のステップを踏んだ先には,1枚の鏡が置いてありました。鏡の国の中に鏡があったら,合わせ鏡の中で死んでしまいそうと思いながら,ひょいとその鏡を,好奇心でのぞいてみたのです。

 鏡には自分の姿が映っているものですが,その鏡の中には見知らぬ少女がこちらを覗いていました。あなたは誰,わたしはアリス,と問い掛けると,鏡の中の少女も,あなたは誰,わたしはアリス,と問うていました。あなたがアリスなわけはないわ,わたしがアリスだもの,というと,少女も同じく答えているようです。困ったアリスはふと鏡の中に手を伸ばすと,なんの境もなく,鏡の中に入り込んでしまいました。そして逆に少女は,鏡の中から鏡の国へと入り込んでしまったのです,すれ違いざま,アリスと唇を重ねながら。鏡の中のアリスと同じように困った顔をしていた鏡の国の少女は,ふいに,がくん! と首を振って,一言だけ云って,ステップを踏んで行ってしまいました。「ようこそ,鏡の中のネットワークへ,またはネットワークの中の鏡へ。あなたのための場所へ」。




 
[2003.06.13]
  IP blast!


 ▼光ファイバーが電話網を変える−ベル研プレジデントにインタビュー(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0306/11/ne00_bell.html


 突風のなかで,みえる将来の姿。

quote:ルーセント・テクノロジーズ社ベル研究所プレジデント,ジェフ・ジャフィ氏のインタビューから。「ベル研究所でホットな話題のひとつは,テレビ・電話・データ通信のトリプルプレイ・サービスです。光ファイバーを使えばそれが簡単に実現できる。いまの電話会社の銅回線ではできません。家庭用光ファイバー(FTTH)はいくつかの層で根本的な変革をもたらすでしょう。電話会社の電話網は実質的に意味がなくなり,長い時間がかかるがFTTHに移行することになる」。

 日本のインターネットの高速回線(一般的にブロードバンドと呼ばれるもの)への移行は,異常な感じがする。このDSLやFTTHへの動きの早さはいったいなんなんだろう? ある意味ではこれまでのNTTの抑圧的な行動が,このような反動を生んでいるのか,とも思うけど,まぁいろいろな要因が重なっているんだろう。容易に判断はつかない。

 だが,いまほとんどの家庭に電気と水道と電話線が通っていると思うが,それにFTTHが加わる。ぃゃ電話線に取って代わるのか。ジャフィ氏の言葉の通り,電話,通信,テレビやラジオなどの放送は,すべてFTTHに集約される。すべてがIPに乗る,動画も音楽も出版も文化も人間も。乗れないものは死ぬ。いまからそれに向けて準備をしておくのは,当然。




 
[2003.06.11]
  プラネットB・ストリーム


 ▼NASA公式サイトに高速アクセス可 - 火星よりライブでストリーミング中継(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/05/20.html


 火星は今年8月,地球に大接近する(もっとも近づくのは8月27日,アストロアーツの記事)。そしてネットワークによる火星への接触。火星人になる,ための道のり。

quote:米国航空宇宙局(NASA)は,今月2機の火星探査機を打ち上げ,来年初めには火星に着陸した探査車から,ストリーミング映像をインターネットでライブ中継することを予定している。それによる集中アクセスに備え,ネットワークの高速化を行っている。

 火星は常に謎を秘めていた。大気や水があることからか,金星人,木星人なんて言葉よりも火星人という言葉は一般的である(タコみたいな生き物が頭に浮かんでしまうけど)。また,火星に向かう調査機が,打ち上げに失敗したり,音信不通になることがたくさんあり,なんらかの意図的な力が働いているのでは? という疑惑の目も向けられてきた。謎の巨大影の存在,不可思議な,そして人工的とも思えるクレーターの存在。さまざまな興味をかき立て続けてきた。

 先日公表された火星の地表からみた地球と月,そして木星の写真(MSSSのページ)は,なにか胸に突き刺さるものを感じさせてくれた。月に再度行くことさえかなえられずにいる人類が,火星の地を踏むことなどいつになるかはわからない。が,ネットワーク越しにその想いは得られるのかもしれない。ファンタジーではなく,リアルのネットワークとして,火星からのストリーミングはなにかをしめしてくれるだろう。火星に生き物などいない(と云われる)。地球から人が火星に行く,そのときまでは。そしてそのとき火星は,地球の次の存在,プラネットBになる。




 
[2003.06.09]
  超新星を見上ぐ


 ▼Apple's Prices On PPC 970 Ensure Motorola Departure(MacWhispers.com)【英語】
  http://www.envestco2.com/macwhispers/archives/000070.php


 幾千の死の星が,幾億の新しい星を生む。

quote:パワーマックとパワーブックへの搭載計画が進められているIBM社のパワーPC 970(PPC970)チップは,現在使われているモトローラ社のG4チップよりも25〜35%ほど低価格となる。CPUのコストがコンピューターの主な費用ではないが,それは確かにアップルの製品の全体的な高価格の要因ともなっている。この低価格もあってPPC970,そしてPPC980への移行はかなり早く進み,2004年の春には全面的に移行が完了するかもしれない。

 つまり来年の今ごろには,アップルの製品のCPUはすべて代わっているだろう,という話。オフィシャルの発表は,2週間後の世界開発者会議(WWDC)でという噂で持ち切りだけど,どぉなることやら。パンサーの話だけでもおなかいっぱいになりそうだけど,PPC970向けである64ビットバージョンのプロジェクトビルダーを渡すことになる,かも,かも,かも,なんて話もあり(MacEditionの記事)。また,Mac Rumorsの記事経由,AppleInsiderの記事によると,PPC970を積んだ新機種が「パワーマックG5」というネーミングで,1.4GHz,デュアル1.6GHz,デュアル1.8GHzで,WWDCで発表されるとも。

 超新星という言の葉は,寿命を迎えた星の死の爆発を見間違えたものであるという意味と裏腹に,因果応報,死してこそ新しきものの誕生である,という意味にも受け取れる。人が人との出会いを喜ぶのは,いつか来る別れを知っているから。…apple's supernova,輝希と。




 
[2003.06.07]
  死の時


 ▼ハッキングで凶暴化したオンラインゲーム『シャドウベイン』(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030604203.html


 ポイントがゼロになる瞬間,ボクは親のことや彼女のことを思うでもなく,ただモデムの緑色のLEDが,子どもの時にみた星空に似ているなと思っていただけだったよ。アハハ。

quote:人気の多人数参加型オンラインゲーム,シャドウベインで,ハッキングによって恐るべき大混乱が起きた。ある街では全住民が強制的に海の底に移動させられ,溺死した。都市の警備隊が凶暴化し,街の住民を攻撃した。みたことのない生き物の一団が,キャラクターたちをできる限り残忍な方法で殺していった。

 人は,自分の力で自分が生きていると思っているけど,実際は,生かされている,というのに近い。ある場所に自分の意志で行ったと思っても,行くことを許してくれる環境や,行くための交通機関が整ってなきゃ行くことなんかできない。行こうと思ったことだって,自分の意志かどぉかはあやしい。なんらかの他人の意図的な情報の積み重ねでそうしただけかもしれない。人は,思っているほど自由ぢゃない。

 シャドウベインの出来事はおぞましいけど,それ以上の恐怖心を生まないのはそのせいかもしれない。ゲームだから,ぢゃなくてね。オンラインゲームでは一定のルールの上で行動し,考えているのが,リアルよりもよくわかる。より,はっきりしている。そして,今回のような出来事も起こりえる。死の時は自分では決められない。自分の意志で自殺したとしても,それもなんらかの外的要因の積み重ねに過ぎない。つまり,ルールの上の出来事である。ネットゲーで死んでみればわかる。いま,リアルで生きている意味,も。




 
[2003.06.05]
  ポータルツレヅレ


 ▼インフォシーク、ライコスのサービスを9月に統合(Impress INTERNET Watch)
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0603/lycos.htm


 あやしうこそ,物狂おしけれ。

quote:インフォシーク社は,ライコス社の運営するライコスジャパンのサービスを今年9月にインフォシークへ統合すると発表した。ライコスの無料ホームページサービス,トライポッドもインフォシークのiswebに統合される予定。

 和鳥,もとい,トライポッドがなくなるとなるとエラク寂しいが,当サイトはフリーウェブ(のちにインフォシークに組み込まれてiswebに)から始まったので,それがなくなっても寂しい。日本からライコスもトライポッドもなくなるなんて,なんか切なくなるな。結果,ヤフー,インフォシーク,エキサイトという3極に集約されたということ?(他にもいろいろあるだろうけどとりあえず古株だけの話。

 が,私もそうだしたぶんこのページをみている人も多くは,それらのポータルサイトを訪れることは時たましかないと思われる。その中でもヤフーが断トツのアクセス数らしいけど,その理由は「?」だ。なにかが秀でているわけでなし,ブランドの力の差? そんななかでインフォシークとエキサイトだってこの先順調にことが運ぶとも思えず,生き残るためにはよっぽど特化したなにかが必要になるだろう。そう強く思うほど,ライコスとトライポッドの名前がなくなるのは寂しいんだよ(TT。




 
[2003.06.03]
  濁々と鋭き牙持ち


 ▼Gnutellaの作者、またしてもAOLにアッカンベー(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20054897,00.htm


 無駄なもの(waste),無駄なもの?

quote:AOL社の一部門であるヌルソフトは,IM,チャット,ファイル検索などの機能を持つピア・トゥ・ピアのファイル共有ソフト,ワステをこっそり発表し,ウェブページでダウンロード可能にした。だが,24時間を経ずにAOL社はそのリンクを外した。ワステを開発したのはヌルソフトのジャスティン・フランクル。同氏は以前,グヌーテラを開発したときもAOLから差し止めをくい,その後,AOLのIMからバナー広告を取り除く,アルメイジングというソフトをリリースした。

 AOLとMSとの和解と云うビッグ・ニュース(ZDNet Newsの記事)のなかで,ヌルソフトの存在も危ぶまれていた矢先,フランクルの牙はえぐるえぐる,愉快愉快。AOLはMSとの和解で,MSと対抗するための武器を持つ必要はなくなったのでは,と云われる。IEと対抗するためのネットスケープはいらなくなるし(ZDNet Newsの記事),WMPと対抗するためのWinAMPの意味も消滅する。だが,かみついてばかり来る飼い犬は,いつまで経っても噛み続けてくる。捨てようとするそのときも。

 現在のMP3の隆盛を作ったひとりは,もちろんウインアンプのジャスティン・フランクルである。そして,ナップスター以後のファイル共有ネットワークの基礎をグヌーテラで形作ったのもジャスティン・フランクルだ。今回のワステのリリースも当然彼の意図的な行動であり,暗号化によって外部を一切遮断する,というファイル共有の筋道に乗っ取り,推し進めるものだ。ワステはいろいろなサイトからダウンロード。また,濁流は流れ出した(WinAMP.comのフォーラムスラッシュドット)。(過去記事




 
[2003.06.01]
  銃より不安


 ▼ノベル、立ち上がる:SCO告訴も辞さず(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20054835,00.htm


 銃を持たずとも戦争に勝つことはてきるか? できる。だが,それに惑わされないようにすることもできる。

quote:ノベル社SCOグループに書簡を送り,SCOが主張しているユニックスの特許権・著作権はノベルにあると言明した。また,リナックスにコードがコピーされたとしている点も,どの部分であるか明らかにするよう要求している。ノベルは,SCOの一連の言動に対して補償を求める法的措置も辞さないと述べている。

 もしかしたら,このリナックスとSCOとの戦争(過去記事)は,もう最終段階にまできてしまっているのかもしれない。それほど,SCOのとほほさ加減に切なくなってくる。コピーされてんならどこがコピーされたのか云えよ,と云っても,それを云うと自分の知的財産がさらされるというわけわかめな返答で,結局まともな武器をひとつもみせずにここまできている。たとえ正当の主張があるにしても,そんなので最終的に相手をねじ伏せることできるなんて思えない。でも。

 結局のところ口だけになっているSCOはかなり笑える存在なんだけど,実際のところ,SCOからの警告メールでリナックスを使っている企業に不安感が生じたのは事実。リナックスに対するFUD(不安,不確実,不信)攻撃は,一時的かもしれないけど意味をなした。今後,いろいろな企業がこのような攻撃手法を一般的に使うんだろう(一般ユーザーがその対象になることだってある。そのような攻撃にきちんと対処できる能力を,きちんと身に付けておきたいものだ。真っ先にやりそうなMSとかのためにね,ぃゃ,もう存分にやってるか:-D。




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